■聴覚障害者の就労問題について

●特に聴覚障害者に厳しい・・・

 一般論ですが、企業は障害者を1.8%以上、雇用する義務があります。ところが最近の動きは@雇用未達成率は56.3%に増加、A求人率はゼロ、B雇用内定率は平均60%に低下しています。(2001年、厚生労働省調べ)。他方、@事務職は減り、技能工、製造業、建設業などが増加、A大企業の採用は大幅に低下(最近では中小企業の雇用も低下しています)、B特に雇用は低下、むしろリストラの対象者が増加しています。

●大企業では30%の人が5年以内にやめていく。

 現在は創業歴の長い「のれん企業」とか言われている会社に就職する人も増加していますが、聴覚障害者の場合、30%の人が5年以内に離職しているのです。辞めた主な理由は@仕事の中身が合わない、A希望する職種につかせてもらえない、などが挙げられています。高卒の場合、社内郵便配達、コピー係、補助的作業など単純労働や深夜勤務という重労働です。大卒の場合、事務の補助的仕事です。他方、待遇の悪さも挙げられます。聴覚障害者の場合、4年制大学を卒業しても、短大卒あるいは高卒の待遇で入社させられ、しかも仕事の中身は高卒並もあるようです。しかも、嘱託または契約社員も多いのです。

 言いたいことはあるでしょうが、聴者にも厳しいときですから、選り好みしている余裕はないと思います。とりあえず、身分はともかく、就職して石の上にも10年という覚悟を決めてじっくりチャンスを待つのも、一つの就労作戦の方法かと思います。一方、景気が悪い今は就労している人も安泰ではありません。現に聴覚障害者ばかり100人をリストラした会社もあります。

 世間並みの待遇でないことはそれなりの問題があると思います。雇用主側に聴覚障害者に対する「偏見、無理解」があることは間違いないと思います。愚痴をいってもなんの解決もできません。職場の中で「偏見、無理解」と戦うことも大事でしょう。理解者がいなければ理解者を増やしていくことも大切だと思います。後輩のためにも道を開くというか、パイオニア精神を持って挑んでいくことを教えていただきたい。

 思いのほか、汚い、厳しい、きつかったと言ってまた転職する人もいます。不満を並べたところで解決しません。職場の中に理解者を増やしていくことが大事だと思います。

●社内コミュニケーションの厳しさ・・

 車椅子の人や視覚障害者に比べると聴覚障害者はみたところ元気です。障害が軽いと見られてしまいます。さして配慮もいらないだろう、投資も少なくて済むだろう。だから雇用した・・・という会社は結構多いです。だが、コミュニケーションを必要とする職場ほど、こんなに面倒とは思わなかったといい、次回より聴覚障害者の雇用を控えるところも増えています。

 例えば、会議のときはコミュニケーションの保障が必要です。それなりに費用がかかります。これを当然と考えている会社はまだ良い方です。どうしたらよいか、悩んでいる人(会社)はもっと多いと思います。そうこうする中で、(金のかかる)聴覚障害者の雇用を見合わせた方が無難と考えているでしょうか。一方、聴覚障害者をたくさん雇用しているから、聴覚障害者に理解があると考えている人、(本人、親、先生)もいます。普通の会社は聴覚障害者を沢山雇用していてもコミュニケーション保障まで十分ではありません。他方、入社した聴覚障害者が職場定着できるように腐心している会社もあります。時間をかけて環境整備をしてきたと思います。最初に入った聴覚障害者がそれぞれの部署で人並みに活躍して、「聞こえなくてもやればできる」と健闘しました。周りの人々にも、聴覚障害者の力を認知させる努力をしました。このように後輩のためにも道を開くという努力が必要でしょう。ところが、最近の若者は不満、不平は言うが、職場のコミュニケーション環境を改善するための努力はしません。ほとんどの会社は聴覚障害者が雇用して日が浅いか、暗中模索しているところも多いのではないでしょうか。そういう会社にむしろ、聴覚障害者がサポートしていく気持ちで関わっていきたいものです。種をまかないと芽は吹き出しませんから。努力しないと何事も変わらないと私は思います。



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